太田川キャス練2

15ft #10ロッドをヒュッと一振りし、T14を手前に引き寄せ、流れるような所作でスウィープ、アンカー、そしてロッドがもう一度風を切った。
指揮者の魔術にかかったシューティングヘッドがタイトでシャープな軌跡を描きつつ、対岸の緩流まで延びきって行った。
そして、リールがジジッと軽く唸り、ロッドティップが我を取り戻したのだった。

そう、シューティングスペイである。

その距離、実に30m越えであり、わたしの眼からは鱗が何枚も剥げ落ちて行ったのだ。

何度目かのキャストを終え、キャスターとしばし雑談を交わした。
初夏にカナダへスティールを釣りに行かれることへの憧れ、羨望、そして熱くスペイを語る、その静かな口調に、紙芝居のおっちゃんの前で口をポカンと開け、帰りの時間も忘れてしまった坊主のような、そんな刹那であった。

「ありがとうございました」

「また、川で逢いましょう」

太田川が与えてくれた一期一会であった。

PS:毎夜、スペイロッドをネット物色しています。
幾度と無く、ポチッとボタンを押しそうになる右手人差し指が我を忘れそうで困っております。
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